長野県行政書士会

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著作権相談員ブラッシュアップ研修会報告

著作権相談員ブラッシュアップ研修会報告

2022年01月07日
 知的財産権(知財)のうち「著作権」の登録申請は行政書士の専管業務です。そして、日行連では著作権制度の普及・啓発を支援する「著作権相談員」の制度を設けています。

 2021年10月20日(水)、法務部主催の「著作権相談員ブラッシュアップ研修会」を長野県行政書士会館で開催しました。コロナ禍収束の見通しが立たない中、定員を10名に絞ったこともあり、参加者は4名。法務部の4名を合わせて計8名で行いました。前半は臼井清文先生(元企画研修部長、松本支部)によるご講義、後半は参加者の意見交換を行い、内容の濃い研修となりました。

 講師の臼井先生は、セイコーエプソン株式会社の知財部部長、政府の審議会委員等を歴任された知財の第一人者です。研修では著作権制度を再確認した後、文化庁に提出する「第一発行年月日登録申請書」「著作物の明細書」「頒布証明書」の書式など登録申請実務をご紹介いただきました。

 著作権の保護対象となる「著作物」は、「文芸、学術、美術又は音楽」(著作権法2条1項1号)という文化の範囲に属するものとされ、産業の範囲にのみ属する工業製品等は対象から除かれます。また著作権は、特許権や商標権と異なり、出願・登録することなく著作物の創作によって自動的に発生します。そのため、「第一発行年月日」等の登録はこれまで、無断で著作物を利用した者に対して差止請求や損害賠償請求をする際の証拠として使われてきました。

 しかし、今般の民法改正に併せて著作権法も改正されました(2019年7月1日施行)。改正前は相続を含めた一般承継における著作権の移転については、登録しなくても第三者に対抗できることとされていました。しかし改正後は、相続による法定相続分を超える部分についての著作権の移転や、一般承継による著作権の移転については、取引の安全を図るため、登録しなければ第三者に対抗することができないこととなりました。相続手続においては注意が必要です。

 研修会後半の意見交換では、著作権業務を行政書士が扱っていることの周知、著作権相談員資格の活用等がテーマとなりました。周知については、「俳句など趣味の分野の創作物が多いので、これらの著作権登録を勧めたらよいのでは」「著作権に絞った市民向け相談会やセミナーを企画するのはどうか」「商工会議所など関係機関へのPRを」といった提案がありました。また、「日本では著作権が大切にされておらず、自らの著作権が侵害されて損害を受けている人が多い」「粘り強く著作権業務を行うべきだ」との意見も出されました。

 法務部では著作権業務を積極的に推進したいと考えています。まず、著作権に関心のある会員の皆様には「著作権相談員」登録をしていただきたくお願いいたします。また、勉強会等のグループ活動を希望される場合には法務部がバックアップいたします。お申し出いただければと思います。

                              (法務部長 岡田 忠興)

 

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